(3) うぐいすの宿(中篇)

エピソード3 うぐいすの宿(中篇)



チャプター 1


ベリーズ工房のメンバーは、地方公演で、ある新興都市に来ています。

明日の公演のため、市内のできたばかりのホテルにメンバー全員で、泊まっています。
まだ、休むには早いので、メンバーは、あれこれくっちゃべっているようですが、様子がすこし変です。



ル’‐’リ   ね〜え、このホテル、できたばかりだから、どこもかしこもきれいね〜

州*‘ o‘リ   でも、なんとなく寒い感じがするよ。。。

川∮^∇^∮   そうね今、冬だもんね。暖房温度あげようか?

州*‘ o‘リ   もー、そういうことじゃなくて、ここに着いたときから、あちこちに黒い影が、ちらほら見えるのよ〜。

ノノl∂_∂'ル   え〜、りさこ、もう見えてるの。いつもと違うじゃん。

州*‘ o‘リ   うん、、なんかこのホテル変だよ。。

川´・_・`川  でも、明日コンサート(お祓い)をすれば、大丈夫よ。心配ないって。

从o゜ー゜从   そうだよ、大丈夫、大丈夫、心配ないって。

州*‘ o‘リ   うん、そうだね。じゃあ、エネルギー補給のため、ちょっと、お菓子買ってくるね。

从´∇`从   もーう、りさこ、おかしばかり食べてると肌荒れになっちゃうよ。

州*‘ o‘リ   みんなの分も買って来るから、、ちょっと行ってきま〜す。


りさこちゃんは、お菓子を買いに近くのコンビニまで出かけていきました。




コンビニで、いろいろお菓子を買って、ニコニコしながら帰ってきた、りさこちゃんですが、自分たちの部屋の前で、小さな女の子が、ちょこんと立っているのを見つけました。


州*‘ o‘リ   おじょうちゃん、こんにちは。どうしたの、部屋がわかんんなくなったの?

女の子)  ううん、そうじゃないの。お家が、なくなっちゃたの。でね、、お仕事ができなくなっちゃたの。

州*‘ o‘リ   え、おうちがなくなったって、、住むとこがないの? 

女の子)  うん。お家はこわされちゃったの。でね、おなかもぺこぺこ。。

州*‘ o‘リ   え〜 おなかペコペコなの?、、じゃ、チョコレートあげるね。食べて。

りさこちゃん、コンビニの袋から、買ってきたばかりのチョコレートを出して女の子にあげました。(注 甘〜いチョコです。例の苦いチョコではないです。)



女の子)  ありがと、おねえちゃんやさしいのね。

州*‘ o‘リ   おじょうちゃん、お名前は、なんていうの、、、

女の子)  うぐいす。

州*‘ o‘リ   うぐいす、ちゃんか。かわいい名前ね。、、ちょと待っててね。



りさこちゃんは、自分たちの部屋のドアをあけて、『キャプテ〜ン、ちょっと来て〜』と声をかけました。


川´・_・`川  なに〜、りさこ〜、

州*‘ o‘リ   ちょっと〜きて〜。


りさこちゃんによばられて、佐紀ちゃんが、ドアの所に、とことこと、きました。


川´・_・`川  なに〜、どうしたの?

州*‘ o‘リ   えーと、この女の子がね、お家が無くって困っているの。

川´・_・`川  女の子って、誰もいないじゃない。


りさこちゃんが、振り返ると、、、女の子は、消えていました。誰もいません。周りを見回しましたが、影も形もなく、まるで蒸発したかのようです。


州*‘ o‘リ   あれ〜?消えちゃった。

川´・_・`川  りさこのお得意の霊視ね。。

州*‘ o‘リ   そっかな〜

川´・_・`川  さむいから、部屋に入ろうよ。。

州*‘ o‘リ   うん、、、


りさこちゃんは、女の子が心配でしたが、部屋に入りました。


ル’‐’リ   りさこ、おかえり、、どうしたの?

州*‘ o‘リ   いま廊下でね、、ちっちゃな女の子がいたのよ。お家を壊されて、住むところがないんだって、それでね、お仕事ができないって言ってたのよ。おなかも空いてるって言ってたから、チョコあげちゃった。。


川´・_・`川  私が行った時には、いなかったけどね。

州*‘ o‘リ   まいちがいないよ。名前だってきいたもん。

川´・_・`川  名前なんていってたの。

州*‘ o‘リ   うぐいすちゃん、ていってたよ。変わった名前だもん忘れないよ。でもちょっと、よそ見してら消えちゃったけど、、

从´∇`从   なにそれ?座敷わらしかな。でもこんな新しい建物にいるわけないし、それにお仕事ってなんだろ。

州*‘ o‘リ   冬なのに、うちわをもってたよ。てのひらみたいな形のうちわ。。

ル’‐’リ   ふーん、おかしな子ね、今度見たときは、ももにも教えてよ、精霊だったら降ろして、みんなとお話すれば、詳しくわかるし。
(ももちゃんは、りさこにしか見えない精霊を現世におろして、誰にでも見えるようにできる能力があります。)



州*‘ o‘リ   うん、でもね、、不思議なことに、顔がまったくおもいだせないのよ。こんどあっても、わかんないや。

从´∇`从   りさこ、いつものボケキャラじゃん。

州*‘ o‘リ   ボケじゃないもん。わすれただけだもん!



必死になって、弁解する、りさこちゃんですが、、やはり日ごろの行動が行動ですので、メンバー全員が、りさこちゃんは、ボケキャラだと思っているようです。



川´・_・`川  うぐいすという名前と、手のひらみたいなうちわ、ってもしかしたら、、、でもまさかね。。

いや、佐紀ちゃんだけは、なにか心あたりがあるようです。







チャプター2





コンサートは無事終了。今回のお仕事もうまくいったようですが、佐紀ちゃんの顔色がすぐれません。なにか心配事でもあるのでしょうか?

(注 コンサートとは、魔界からの通路をふさぐべりっこのお仕事の別名です。)




ル’‐’リ   キャプテン、、どうしたの心配事でもあるの?

川´・_・`川  うん、魔界から、この世界への通路は完全にふさいだんだけれど、空間がものすごく不安定で、またすぐやぶれそうなの。。

ル’‐’リ   え、どうして?

川´・_・`川  普通、こんな場所には、必ず要石に当たるものがあるはずなのに、それが無いのよ。導師の話では、前は、もすごく安定していた場所だったらしくて、本当ならコンサートの必要は無かったのよ。

川´・_・`川  不安定になった原因を探すのも、今回のおしごとですので、みんな、協力してね。



从o゜ー゜从   で、どうするのさ、

川´・_・`川  古くから住んでいる人を探しましょう。。たしか近くに神社があったとか、聞いてます。熊井ちゃんと、ちーは、その神社で、聞き込みをしてね。

从´∇`从 川∮^∇^∮  はーい、わかりました。すぐ行きます。

川´・_・`川  私と、ももとで、最近壊した社や鳥居、かなめ石がないか、市役所で聞いてみます。

川´・_・`川  まーと、みやは、万一に備えて、会場の付近を守ってね。なにかあったらすぐ結界で、封印してね。

从o゜ー゜从 ノノl∂_∂'ル  まかしといてよ。

川´・_・`川  りさこは、ホテルで連絡係をしてね。。

州*‘ o‘リ   え〜。りさこだけお留守番なんてつまんないよ〜。連絡なら、携帯があるじゃん。

川´・_・`川  昨日の女の子が、また来るかも知れないし、その時りさこがいないと女お子が、困るよ。

州*‘ o‘リ   あっそっか〜! はーい。ホテルで、るすばんしてますよ〜。





数日後、ホテルで作戦会議です。佐紀ちゃんがみんなに、調査の結果を説明しています。



川´・_・`川  で、、分かった事をまとめると、私たちが泊まっているこのホテルが建設されるときに、邪魔になるということで、ここにあった、小さな、お社が取り壊されたとのことです。


从o゜ー゜从   雰囲気悪いのは、それが原因ということか〜。


川´・_・`川  取り壊しに反対もあったのですが、この地方の実力者のホテルの社長が、強引に取り壊しの工事をしたらしいのよ。裏で相当あくどいこともしてるみたい。
導師から社長に連絡が行っているので、あす社長と面会して話をつけましょう。



ノノl∂_∂'ル    強欲社長が言うこと聞くかな〜、うちらは、つんく導師みたく口は、うまくないじゃん。

从o゜ー゜从   大丈夫だよ。ももが、霊体を降ろして、見せてやれば、誰だってしんじるさ。

ル’‐’リ   軽く言わないでよ〜。悪霊ってものすごくきもいんだよ。出来たら降ろしたくないよぅ。

从o゜ー゜从   ごめん、いつもももには感謝してるって。

ル’‐’リ   ほんとぅ、そう言われると、なんかうれしいな〜。じゃがんばるぅ。

川´・_・`川  じゃあ、明日はみんなで直談判にいきましょう。



ということで、ホテルの持ち主の社長に、お社再建の件で、直談判に行くことになりました。はたして、ベリっこの説得がうまくいくでしょうか?






チャプター 3

さて、場面は、一夜明けて、強欲社長の家の前です。さすが一代で地方一の金持ちになった社長の家です。成金趣味丸出しの豪邸です。




ノノl∂_∂'ル    すごいじゃん、、家というよりお城みたいじゃん。

州*‘ o‘リ   この家、絶対に魔物がとりついていているよ〜。黒い霧のようなものが、渦巻いているのが、はっきりと見えるもん。。

从o゜ー゜从   さすがりさこだね。  うちらには、いやな感じはしても、まだなにも見えないよ。




佐紀ちゃんが、玄関のインターフォンを押して、来訪を告げると、執事が案内に出てきました。

執事に、案内され廊下を歩いていきますが、この家がものすごくお金がかかっていることは、世間にうといメンバーにも良くわかりました。


从´∇`从   すごいね、足首までうまりそうな、じゅうたんだよ。高かそうだね。

从o゜ー゜从   よっぽど、悪いことをしてかせいだのさ、普通じゃ買えないよ。

川∮^∇^∮   悪霊が、取りつくのもあたりまえよね。ちゃんと納税申告してるかな。


悪口を平気で言うメンバーですが、さすが執事、聞こえない振りをしています。大人の対応ですね。



執事) こちらでございます。。

通された応接間は、馬鹿でかいです。野球ができるくらい、広く、天井には豪華なシャンデリアがあります。まるでアラブの王様の部屋のようです。
 

執事)  社長、ベリーズ工房の皆様がおつきになりました。

後ろを向いて外を眺めていた社長が振り返り、メンバーをじろりと眺めています。目にはいやらしい光があります



川´・_・`川  はじめまして、ベリーズ工房の清水と申します。

一応社交辞令で、挨拶する佐紀ちゃんです。



社)  ふ。まるで修学旅行だな。政界の、お偉いさんの紹介だからあってやったが、本来ならおまえらみたいな小娘など、俺様に会うには、身分違いというものだ。。

とんでもなく失礼な社長ですが、佐紀ちゃんびくともしません。


川´・_・`川  お話は、つんく導師から聞かれて、いると思いますが、あなたが壊してしまった、お社の再建のことです。


社)  話は、聞いてはいるが、そんな与太話をこのおれが、信じると思っているのか。


川´・_・`川  いえ、全て、本当のことです。あなたの命にもかかわります。


冷静に話をする佐紀ちゃんですが、どうも信じてもらえそうもありません。それどころか、ベリっこ達をいやらしい目で眺めてます。



社)  うん、、よく見れば、お前たち、かわいい子ぞろいだな、どうだ、俺の店で働かないか?いい金になるぞ。とくにお前は、おれの好みだ、愛人にならんか?好きなだけ贅沢をさせてやるぞ。


佐紀ちゃんが気にいったようですが、愛人なれとは、とんでもないやつです。

これには、メンバー全員、いやな顔をしました。いつもニコニコしている千奈美ちゃんからも笑顔が消えています。

佐紀ちゃんの眉は、ピクピクしています。怒っているようですが、最年長者です。キャプテンですので、ここは、ぐっと我慢でしょう。


佐紀ちゃん、社長の無礼な言葉は、無視して話を続けます。


川´・_・`川  ホテルを作るために壊したお社のことですが、あれは、はるか昔からある、大事なお社です。取り壊したままでなく、もう一度、近くに立ててもらえませんか?


社)  馬鹿をいうな、そんな事をして、何の役に立つ。そんな金があったら、女でも囲ったほうがましだ。どうだ、もう一度言うが、おれの女にならんか。


しつこい社長です。どうも佐紀ちゃんに一目惚れしたようです。佐紀ヲタになっちゃったのでしょうか?




川´・_・`川  いいえ、あれは地域の守り神のすみかでした。すみかがなくなってしまったので、この地域の守り神が、どこかに行ってしまったのです。

そのため空間が、不安定で魔界との通路が出来やすくなっています。現にこの家には、すでに、魔物がとりついています。あなたの身にも災厄が訪れるのは、間違いありません。

川´・_・`川  りさこ、どんなものが見えているか、説明してあげて。



佐紀ちゃんに促されて、りさこちゃんが説明をはじめました。



州*‘ o‘リ   えっと〜ぉ、この家に入るとき、真っ黒な霧のようなものが、取り巻いているのが見えたゆ〜。
でね。。その霧は、あなたの後ろに見える大きな、黒い影から、ふきだしているんだゆ〜。

州*‘ o‘リ   あなたは、黒い影に、とり殺されてしまいますよ〜。。(棒読み)



りさこちゃんの説明には、まったく説得力も緊迫感もありません。
これで説得されるのは、りさこヲタだけでしょう。

しかし悪霊は、りさこちゃんが一番よく見えるので、説明役は、いつもりさこちゃんの担当です。。


案の定、りさこヲタでない社長(どうも佐紀ちゃんヲタらしい)には、まったく通じませんでした。



社) なにを世迷い事を言ってる、悪霊だと、そんなもの何も見えんじゃないか!見えもしないもので脅しても無駄だ。
いるというなら、見せてみろ、、見せてくれたら信じてやる。出せるものなら出してみろ。



川´・_・`川  やっぱりね、みんな同じことを、言うのね。じゃあ、、もも、頼むね。

ル’‐’リ   う〜ん、なんかやりたくないよぅ。悪霊って、たいてい見かけが、ものすごくきもいんだもん。それに今回は特にいやな感じがしてるのよぅ。


川´・_・`川  グリンピースほどじゃないでしょ。

ル’‐’リ   もぅ、こんなとき冗談言わないでよぅ。



社)  おい、見せれるものなら見せてみろよ。この、あばずれめ、おおかた、怖い話で脅して、金でもせびろうという魂胆だろう。
その手は、お見通しだよ!まあ、せっかくここまで来たんだから、ストリップでもしてくれたら、見物料ぐらい、払ってやらんでもないがね。


とんでもないことをいいだす社長です。わたしが現場にいたら、グーで社長を殴ってしまいそうです。


が、さすがキャプテン佐紀ちゃん。冷静です。


川´・_・`川  もも、お願いね。


ル’‐’リ   しかたないな〜、、もものやくまわりだものね。



ももちゃんは、胸の前で、両手をあわせてハート型を作り、なにか呪文のような言葉を小さな声で、しゃべっています。

よく聞くと『ももは、大人、ももは大人』と言っているようです。


しばらくすると、ももちゃんのぴんと立てている小指が、だんだんと白く光ってきています。ももちゃんの霊降ろし能力の発動です。



ゆらるらと黒い陽炎のようなものが、ももちゃんのいるところの、数メートル前に立ち上り始めました。


ノノl∂_∂'ル    やっぱ、悪霊ね、真っ黒じゃん。そうとうのワルよ。



と、、突然、どーん、という音とともに、身の丈3mもあるような、大鬼が出現しました。本当に鬼そのものです。
トラのパンツをはいた、鬼そのものですが、その醜悪さといったら言葉では表せないほどです。


鬼の頭は、豪華なシャンデリアにぶつかり、粉々にこわしてしましました。割れた破片がばらばらと、ふりそそいでいます。

ももこちゃんも、自分の呼び出した鬼のあまりにの、グロさに、びっくりして、しりもちをついています。


从o゜ー゜从   ももー、やりすぎだよ〜。実体化する必要ないよ〜。

ル’‐’リ   ち、ちがうよ〜、ももじゃないよ〜!ももは見えるようにしただけ〜。

从o゜ー゜从   え〜!じゃあ、あいつ自分の力で実体化したんだ。

川´・_・`川  そうとうな力よ。みんな注意して、



出現した、鬼をみて、社長は、口をあけたまま、腰を抜かしています。まったく、根性なしだよ、です。




出現した鬼は、一回りみんなを見回すと、ヤスリをこすりわせるような不快な声で、


鬼)  グギギギ、、、うまそうな娘たちだな、、どれ、ちょっと齧ってみるか、、


鬼は、手近にいた、ももちゃんに手をのばしました。、、、が、ももちゃんの姿は、一瞬で消えました。どこに行ったのでしょう?
おっと〜、ももちゃんは、みんなの後ろにいました。ももちゃんの韋駄天振りが発揮されたようです。(ももちゃんは常人の10倍速で動ける)



鬼)  ギギギ、、、すばしっこい娘だな、、お前たち普通の人間ではあるまい。。。

川´・_・`川  私たちは、あなたみたいな災厄を封じるためにきたのよ。


鬼)  ギギギ、、、おれを封じるだと、、ぐははは、面白いことをいう娘たちだ。天狗ならいざ知らず、お前たちにそんな力はあるまい。


ノノl∂_∂'ル    やってみなきゃ、わかんないじゃん!

从o゜ー゜从   なめられたもんだね。



みんなが、鬼と問答している間に、社長が、どこからか散弾銃を取り出して鬼に向けました。やはり、悪徳社長は、いつも襲撃に備えているようです。


社)  う、う、動くな!動くと打つぞ!

鬼に向かって、恫喝するのですが、声が震えていて、ちっとも迫力がありません。


川´・_・`川  無駄よ!現世の武器は、鬼には通じないわ!!

そんなことが、わかる社長ではありません。ぶるぶる震えていて、今にも暴発させそうです。


鬼)  ギギギ、、、そんな、おもちゃが役にたつと思っているのか。

鬼が、社長のほうに、一歩ふみだしますと、あまりの怖さに、社長は、散弾銃を撃ってしいまいました。

ばーん、という音とともに、たくさんの兆弾が、室内に散らばりました。鬼は、弾をはじき返したようです。


社) あいたたた、、、

社長には、兆弾があたったようで、悲鳴をあげています。ちょっと、いい気味です。



ベリーズのメンバーは、暴発の直前に、結界を張ったので、散弾銃の兆弾は、すべてはじき返しています。
みんな、それぞれの色の、光のリング(結界)にしっかりとまもられて、怪我はありません。


もちろん、うたれた鬼は、なんともありません。至近距離から散弾銃で直撃されたのに、かゆがってさえいません。


じろりと社長をみると、腕をのばして、散弾銃をとり上げ、ぼりぼりと噛み砕いてしましました。
それを見た社長は、また腰を抜かしてへたりこんでしましました。今日二度目です。本当に根性がありません。



鬼)  ギギギ、、、久しぶりに結界を張れる人間を見たが、お前たちは巫女か、、うまそうだ。。


メンバーを見渡す鬼の目が、りさこちゃんで止まりました。。


鬼)  ギギギ、、、お前は、特にうまそうだな、、まずお前から食べてやろう。結界を張れる巫女の肉は、特にうまいからな。ここ200年ばかり、巫女を食ったことがないので、さぞうまかろうて。



鬼の口のふちからよだれが、だらだらと床にまでたれます


州*‘ o‘リ   なんで〜、こっちこないでよ〜。食べるなら、悪人の社長をたべてよ〜。

りさこちゃんに、名指しで食えと言われた、社長は、まっさおですが、そのとおりだと思います。


鬼)  ギギギ、、、男の肉はまずい、、うまいものがあるのに、まずいものは、食いたくないのが当たり前というものだ。
人も鬼も同じことよ。しかし、、見れば見るほどうまそうだな。この世に出てきたかいがあるというものだ。


州*‘ o‘リ   わたし、おいしくないよ〜。味噌ラーメンばっか、たべてるし〜。

りさこちゃん、毎度のことですが、まったく説得力が、ありません。



鬼)  ギギギ、、、そう謙遜するな。俺は人間の、味当てに関しては、他の鬼に負けたことはない。このおれが、うまいと言っているのだから、お前たちは、自分の旨さを自慢するがよい。。

いえ、自慢するもなにも、たべられたら、意味がありません。


よだれをたらしながら、鬼はりさこちゃんのすぐそばまできました。

りさこちゃんは、目いっぱい結界を強くしているようです。結界が白くきらきらと輝いています。その中にいる、りさこちゃんは、とてもきれいです。まるで光の妖精のようです。


りさこヲタが、見たら、あまりの美しさに気絶することまちがいなしですが、鬼は、りさこヲタではないのです。りさこちゃんを食べる事しか頭にありません。



从o゜ー゜从   まずいよ、りさこの結界は、弱いよ。

メンバー内では、りさこちゃんの結界は、本人の運動能力と同様、へたれなのは、周知のことです。



鬼が、おおきく腕をあげたかと思うと、りさこちゃんの結界を拳固で、なぐりました。

びーんんんんん、、、、結界が音を立ててゆれています。


州*‘ o‘リ   ひ〜。やめて〜

りさこちゃん必死になって結界を守っています。



鬼)  ギギギ、、、ほう、一回ではだめか、、だが何回持つかな。

そういうと、また、鬼がりさこちゃんの結界を殴りました。

びーんんんん、、、、こんどは、白い光が、ついたり消えたりしています。今にも消えそうです。



州*‘ o‘リ   あば、、あば、、

りさこちゃん、あばば気味です。



ノノl∂_∂'ル    ミヤビーム!

とつぜん、みやびちゃんの結界から、真っ赤な炎のリングが発射されて、鬼にぶつかりました。みやびちゃんの火炎リングです。

人間なら、どこかにふっ飛ばされるくらいの衝撃があったはずですが、鬼はびくともしません。それどころか、火炎リングが、ばらばらに分解されて飛び散りました。


飛び散った火炎リングが、部屋のあちこちで、ちろちろと炎を上げています。
そのうちの一個が、社長の頭のうえに乗っています。髪の毛に、燃え移ったようです。


社長は、あわてて、髪の毛ごと剥ぎ取って、床にたたきつけ、足で踏んでいます。どうやら社長はズラだったようです。とんだところでばれてしまいました。



川´・_・`川  え〜!ミヤの火炎リングを跳ね返すなんて、なんて力のある鬼なの。


鬼は、じろりとみやびちゃんのほうを向いて

鬼)  ギギギ、、あわてるでない、、この娘を食ったら、、その後でおまえも食ってやるからまっておれ。
ふむ、、お前の結界は、ことさら強いな、、さすがのおれでも、破れんかもしれんな。

が、、破る必要もあるまい。仲間を全て目の前で食われれば、人は耐えれん、結界を張り続ける気力もなくなろう。その後、ゆっくりと食ってやる。おまえは最後の食事だ。


空恐ろしいことを、宣言する鬼です。私なら、すぐさまとんずらしますが、ベリーズのメンバーは、誰もりさこちゃんを置いて、逃げ出そうとはしません。結束は、固いようです。




川´・_・`川  いくべ〜!

ゴーという音とともに、空気の、大渦巻きが、鬼をおそいました、佐紀ちゃんの『かままいたち』です。
しかし、これもかんたんにはじき返されて、その巻き添えで部屋中が、洗濯機の中状態になってしまいしました。


部屋の中をいろんなものが、舞い上がって乱舞しています。

もっとも、メンバーは、それぞれの結界の中にいますので、問題はありませんでしたが、結界の外にいる社長は、今回も巻き添えで、部屋の隅に吹き飛ばされ、したたかに背中をうったようです。

うんうんと、うめき声をあげています。



从o゜ー゜从   うお〜!

目もくらむような稲妻が、まーさちゃんの結界から、鬼に向かってはなたれました。


まーさちゃんの雷ですが、残念な事に、これも簡単にはじき返されて、部屋中に散らばりました。
もちろん今回も、社長は、はじけとんだ電撃を食らって、ラムちゃんにやられた、諸星君状態になっています。


佐紀ちゃんの予言どおり、災厄に見舞われたのは、間違い無いようです。



鬼)  ギギギ、、無駄なことをするな、、お前たちの力では、、おれはたおせん。力があるといっても所詮は、人間だ、人間は、俺の食料にすぎん。
食料は、食われるまで、おとなしくしておれ、そうすれば苦しくないように食ってやる。なまじ、はむかうと苦しむぞ。



ふたたび、鬼がりさこちゃんの結界を殴りました。こんどは、ビーンという音とともに、りさこちゃんの結界は完全に消えてしましました。


州*‘ o‘リ   あばばばばばばばばばば、、、、、

りさこちゃん、あばば全開です。思考停止状態で、固まっています。棒立ちです。



ノノl∂_∂'ル    ミヤビーム!


そのとき、再び真っ赤なリングが、みやびちゃんの結界から、鬼に向かって放たれました。
こんどは、鬼に直接ぶつからず、リングは、大きく広がって、鬼の頭上からすっぽりとかぶさりました。


すると、鬼の動きがぴたりと止まりました。さすが業界?最強の結界といわれる、みやびちゃんの火炎リングです。鬼の動きを完全に封じています。みやびちゃんすごいです。



ノノl∂_∂'ル    いまよ、りさこ! はやくこっちに来て、私の結界に、入って!


りさこちゃんは、あばば状態から、われに返って、みやびちゃんの結界に入ろうとしましたが、すこし動いただけで、すってんころりんと、こけてしましまた。


州*‘ o‘リ   足が、つった〜!うごけないよ〜!

こんな非常時に足がつる、残念なりさこちゃんです。


いや違います。黒い帯のようなものが、りさこちゃんの足首に絡み付いています。こけたのは、そのせいです。あれはなんでしょうか?


州*‘ o‘リ   いや〜。なに〜これ! 変なものが張り付いてる〜。とれないよ〜。

りさこちゃんが、一生懸命に解こうとしましたが、黒い帯は、ぴったりと張り付いて、とれません。



鬼)  ぐふふ それはな、おれの金棒だ、おれの意思で自由に動く、おれの分身だ。絶対にほどけん。


州*‘ o‘リ   ひ〜。


川∮^∇^∮   えー、『鬼に金棒』の金棒って、あんな帯みたいなものだったの。これじゃ『鬼に黒帯』が、正しい言い方よね。ことわざ辞典を直さなくちゃ。。

いえ、くまいちゃん、あなたの言うことは正しいのですが、今はそれどころではありあません。



黒いおび(金棒)につかまれたりさこちゃんは、身動きができません。

州*‘ o‘リ   いや〜!ぴっぱられるよ〜

りさこちゃん、ずるずると鬼のほうに引きずられていきます。




川´・_・`川  ちー、りさこを空間転移できない?

从´∇`从   できないよ!鬼に足をつかまれてるから、無理に空間転移したら、りさこがふたつにちぎれちゃうよ!

二人になったりさこちゃんなら、両手に花状態ですので、見てみたいですが、二つになった、りさこちゃんは、見たくありません。



そうこうしているうちに、りさこちゃんは、鬼のすぐそばまで引きずられてしまいました。


州*‘ o‘リ   あつい、あついよ〜

鬼) ぐふふ、、どうする、このまま、おまえの火炎リングに押し付ければ、この娘は丸焼きだぞ。


みやびちゃん、鬼を封じている結界を開放するしかありません。しかしいま開放したら、りさこちゃんは鬼に捕まってしまします。



州*‘ o‘リ   あつい、あついよ〜

りさこちゃんの着ている、洋服がこげはじめました。もうぎりぎりです。


りさこちゃんが、火炎リングに触れる直前、リングは消えました。みやびちゃんが、あきらめて結界を開放したのです。





鬼)  ぐふふ、そうだあきらめるが良い。何もせず見ておれ。

州*‘ o‘リ   やめて〜!!!! こないで〜!


りさこちゃんが、悲鳴をあげましたが、メンバーはどうする事もできません。
あわれ、りさこちゃんは、鬼に食べられてしまうのでしょうか?



りさこちゃんが、捕まってしまうと思われた、その瞬間!

鬼)  ぐぎゃー!

突然鬼が、顔を抑えて、後ずさりしました。不死身の鬼に悲鳴をあげさせるとは、いったいなにがおきたのでしょうか?

見ると、鬼とりさこちゃんの間に、ちいさな女の子が、出現しています。

女の子は、右手に持っている、バトンのようなものをまっすぐ鬼の顔に向かって、突き出しています。



べ) え、あの子なに?どこから来たの?

突然の出来事にメンバー全員が、あっけに取られて見ています。。



女の子が、前に進むと、鬼は顔を押さえたまま、後ずさりして下ります。なぜか、ちいさな女の子をすごく恐れているようです。

女の子が、動くたびに、バトンの先についているリングが、ジャラジャラと音を立てています。


よく見ると、女の子の背中には、半透明の羽のようなものがみえます。足が床に着かずにふわふわと浮いているのは、羽の力でしょうか。



ル’‐’リ   鬼が怖がっているよ!何の精霊?



鬼は、女の子に、壁まで追い詰められてしまいました。追い詰められた鬼は、女の子に殴りかかりました。

ふつうなら、女の子は、簡単に吹き飛ばされてしまうのが、あたりまえですが、女の子が、手に持っている、うちわのようなもので、鬼の腕を軽く払いのけると、鬼のほうが部屋の隅まで吹っ飛ばされて、『どーん』という音とともに壁にめり込んでしまいました。


部屋は、地震の様にゆすれています。



起き上がった、鬼はものすごい形相で、女の子をにらんでいますが、一向に向かってこようとはしません。

鬼が向かってこないので、女の子は、空中をすーと滑って、再び、鬼の前にまで行きました。

鬼がまたなぐりかかりましたが、こんどは、リングがついた棒で、鬼の腕をちょんと、たきました。

鬼)  ぎゃー!
 


鬼は、身の毛もよだつような悲鳴をあげています。みると、鬼の腕は途中からぶらぶらになっています。どうやら折れたようです。

まったく相手になりません。あっという間に鬼は、ぼろぼろです。実力が、違いすぎます。



ノノl∂_∂'ル   すご〜い!鬼が、手も足もでないじゃん。


鬼は、その後も、一方的に女の子にやられ、部屋中を逃げ回っていましたが、とうとう大きな天窓をぶち破って、空へ逃げていきました。


鬼が逃げていった空をしばらく見ていた、女の子は、りさこちゃんのほうをふり向いて、『お姉ちゃん、、チョコレート美味しかったよ。』と、にこにこ笑いながら、言いました。


州*‘ o‘リ   え、チョコレートって、、、もしかしたら、うぐいすちゃん?

女の子)  うん、そうだよ。おねえちゃんの声が、聞こえたから来たの。

州*‘ o‘リ   ありがとう助けてくれて、、

女の子)  いいの、これがお仕事だから、でも、おうちがないので、長くはいられないの。

女の子の姿が、だんだんと透き通っていきます。


州*‘ o‘リ   どこかに行っちゃうの、もうあえないの?

女の子は、その問いには返事をしませんでした。見る間に、透明にになって、最後には、消えてしましまいました。


後には、めちゃくちゃに壊れた室内に、茫然自失の社長とべりーズメンバーだけが残りました。




川´・_・`川  やっぱり、りさこの見た女の子は、天狗さんだったのね。私たちというより、りさこを助けに来てくれたのね。

佐紀ちゃんが、ぽつりと言いました。






社長が、佐紀ちゃんのそばに、はって来て、土下座しています。


社)  悪かった、、 助けてくれ、、、何でも言うことをきく、、、たのむ助けてくれ、、 お願いだ、、、

あの強気な社長は、どこにもいません。そこにいるのは、命惜しさで、ぶるぶると震える、あわれな中年男です。

ズラが取れてしまっているので、こっけいです。



佐紀ちゃんが、社長をキッとにらんで、話し始めました。怒っている、佐紀ちゃんのまゆが、りりしいです。こんなときなんですが、かわいい子は怒ってもかわいいです。


川´・_・`川  鬼はめったに死にません。鬼から身を守るには、追い払うしか方法は、ありません。
そのためには守ってくれる精霊が、必要です。あなたはその精霊のすむ家を壊してしまったのです。
鬼に取り付かれたのは、自業自得でしょう。今回は、たまたまりさこを助けに、来てくれたので、運よく助かりましたが、次回は、もうありません。
いずれ生きたまま、鬼に食われるのが、あなたの運命です。



恐ろしいことを淡々と話す、佐紀ちゃんです。

話を聞かされた社長は、死人みたいな顔になっています。鬼に生きたまま食われると知ったら、誰でも狂死しかねません。



社)  たのむ、、ここにいいて、私を守ってくれ、、金ならいくらでもだす、、いや全財産わたしてもいい。。


川´・_・`川  いいえ、あの鬼の力は強力です。見たとおり、私たちの力では、ふせぎきれませんでした。
わたしたちは、もうかえります。あとは、ごじぶんで、ガードマンでも好きなだけ雇ってください。


佐紀ちゃん、ここぞとばかりに、敵をとってます、やはり女の子にうらみをかっては、いけません。



社)  悪かった、、頼む、頼むから、見捨てないでくれ、、うううう、ぐす。。

社長は、とうとう佐紀ちゃんの足元で、泣き出しました。



川´・_・`川  あなたが、どうなろうと私たちは、かまいませんが、このままでは地域の住民にまで、災厄が訪れるようになるでしょう。それは、私たちが、望むものではありません。
あなたが壊した、お社をきちんと建て直してください。そうすれば大丈夫です。さっきの女の子が、この地域を守ってくれます。
お社の立て方などは、つんく導師にたずねてください。ただし、あまり時間をかけますと、さっき逃げた鬼が戻ってきますよ。



やっと、本題をいう佐紀ちゃんです。


社)  わ、わかった、、それで助かるなら、ぐす、、いますぐ、、手をうつ、、、うううう。ぐす。

泣きながら、携帯を取り出していますが、手が、震えてボタンがおせません。

そのうち携帯を床に落としてしましました。拾おうとしましたが、そのまま床にへたり込んでしましました。足にもきてるようです。



川´・_・`川  みんな、そろそろ、帰りましょ。


社)  ま、まってくれ、もうすこしいてくれ、、怖くて、、怖くて、、震えがとまらないんだ。助けてくれよう。


ノノl∂_∂'ル   あなた、男でしょ! もうちょっと根性だしたらどうなのさ!さっきまで、言いたい放題いってたじゃん!

社)  ううう、、かんべんしてください。、許してください、、助けてください。

今度は、みやびちゃんの足元にすがって泣いています。

あくまでも、『足元』です。ドサクサにまぎれて『足』にすがったのでは、無いので、みやヲタのみなさん、安心してください。



ノノl∂_∂'ル   まー、ちょっと、気合をいれてやってよ。

从o゜ー゜从   おーけい。

まーさちゃんは、社長の前に行くと、とつぜん、ぱーん!と社長に平手打ちを食らわせました。
社長は、びっくりして目をぱちくりしています


从o゜ー゜从   どーだい。震えは収まったかい。


社)  お、収まった、手も足も自由に動く、でもどうして、、


川´・_・`川  恐怖は、自分で作ったものです。須藤にたたかれて、目が覚めたということです。


社) ・・・・そうか、、ありがとう。助かったよ。

なんと、強欲社長がお礼を言っています。顔を見ると少年のような、素直な顔をしています。まーさちゃんに、はたかれて少年の心が戻ったようです。(いつまで持つかは分かりませんが)



川´・_・`川  では、みんな帰りましょ。 見送りは結構です。


社) ・・・・気をつけてな。。。


州*‘ o‘リ   はやく女の子のおうちを作ってあげてね。

社) わかった、約束する。





メンバーは、社長の家を後にすることになりました。


家をでるとき、ふと気配がして、りさこちゃんは、ふりむきました。屋根の上にちいさな女の子が、腰掛けて、手をふってます。


声は聞こえませんでしたが、りさこちゃんには、その唇が、(ありがとう。おねえちゃん)といっているように見えました。

ももこちゃんなら、『あなたのほうが年上でしょ』とか突っ込んだでしょうが、素直なりさこちゃんは、『こんどあったら、またチョコあげるね』と、答えました。




ベリーズ戦記 エピソード3 うぐいすの宿 終わり 

◎ベリーズ戦記 エピソード4 お花見

◎ベリーズ戦記 エピソード2 神社にて



Berryz工房の冒険小説『ベリーズ戦記』640
今回の出演者  Berryz工房より、清水佐紀嗣永桃子徳永千奈美須藤茉麻夏焼雅熊井友理奈菅谷梨沙子